表彰の存在は知っていましたが、自分とは遠いところにあるものだと思っていて、これまで全く意識したことがなかったので、今回のお話があったときは驚きました。

ずっと目の前の任務に夢中で取り組んできましたが、この表彰にあたって、これまでの活動を振り返ってみると、本当に長い間このお仕事に向き合ってきたんだなと感じました。

歯科衛生士の仕事は多岐にわたりますし、歯科衛生士の研修会の企画運営なども同時進行でおこなってきて、いろいろなことを経験させてもらったなと思います。

医療は日進月歩なので、学生時代に学んだことだけでは追いつけません。
生涯、学習を続けていたかなければならないという思いがあります。
そして、それを後輩の歯科衛生士さんたちにも伝えていきたいなと思っています。

口腔に対する支援の精神は、学生時代からずっと培ってこられていると思うのですが、特に大切だと思っているのは、コミュニケーション能力です。

こちらの伝え方で、患者さんに誤解を与えてしまったらいけないし、一方的な押しつけになってしまってもいけないですよね。

患者さんに対してだけではなく、先生や実習に来られている学生さんなどとのコミュニケーションも大切だなと感じています。
そういったことも、お伝えしながら、一緒に勉強していけたらなと思います。

東日本大震災のときに、「災害派遣歯科衛生士」として被災地に行き活動したことがあります。そのときは、どうしても口腔衛生の優先順位は下がりがちでしたが、まずは対人間としてしっかりと傾聴することからはじめ、その後に歯科衛生士としてお伝えしなければいけないことは、お伝えするということをしました。

口の健康と全身の健康を切り離されて考えられる方も多いのですが、口も体の一部で、全身への影響があるということを再認識する機会にもなりました。

さきほどコミュニケーションが大切と言いましたが、歯科衛生指導をするときには、お口のことに関心がない患者さんへの伝え方がとても難しいです。
お口の健康がどれほど大切か、お伝えしたいことはたくさんあるんですが…。

何年もやっていますが、これが１番難しいですね。少しでも患者さんの行動変容を促すことができたらいいなと思いながらやっています。

それでも、虫歯多発の時代をのりこえて、学校での健康教育がはじまり、成人の歯科検診もこれからどんどん普及していくと思います。
歯科に対する意識も、昔と今では大きく変わってきたなと感じます。

時間で考えても良いんですが、とにかく大切なのは全面をきれいにすることです。時間をきちんととっていたとしても、同じところばかり磨いてしまっている場合もありますよね。

日常生活のなかで、時間がなくて、ささっと終わらせてしまうこともあると思います。
それは仕方がないことなので、そんなときは、１日のなかの別のタイミングでしっかり磨く時間をとってもらえたらいいと思います。「たかが歯磨き、されど歯磨き」ですからね！

生活習慣のなかで気をつけてほしいこともありますが、まずは、歯科医院の扉をぜひ開けてみてください。
表面では悪いところはないように見えていても、レントゲンなどを使って見えていない悪いところを見つけてくれることもあります。
お口の定期的なメンテナンスを心がけてくださったら嬉しいです。